チャレンジャーをお世話して
こんなことを感じた

 現在、7人のチャレンジャーがブラジル各地に滞在している。それぞれの目的が違い、生活環境も異なる。共通しているのは、ブラジルが好きで自分の興味のあることに貪欲なことだ。

 目標、目的意識がはっきりしており、無駄のない生活を送っている。夏休みを利用して来伯している人や1年間滞在する人まで様々だが、短い滞在期間をいかに有効に過ごすのか、懸命に模索し、実行している。そして、決して贅沢はしない。倹約に倹約を重ね、有効にお金を使うことを心がけている。

 サンパウロでこれらのチャレンジャーと接していて、色々教えてもらうことが多い。チャレンジ・ブラジルを立ち上げて1年足らずと日が浅く、我々も手探りの日々が続く。息子や娘と同世代の若者たちとどのように付き合っていけばいいのか、当初、来伯したチャレンジャーたちを尊重し、必要以外は連絡を控えていた。チャレンジャーたちは困れば、連絡してくるだろう、と考えていたからだ。チャレンジャーたちは海外に飛び出してくるだけあり、自立心が旺盛で、できるだけ自分で問題を解決しようとしている。自分で解決できなければ、チャレンジャー同士で悩みを分かち合う。

 ところが、チャレンジャー第1号のYさん(女性)が帰国間際に「鈴木さんの考えは間違っている。悩みがあっても自分から言えないものなんですよ。もっと声をかけてあげて。鈴木さんの息子さんや娘さんがチャレンジャーだったらどうします。もっと連絡するでしょう」と強烈な一発を食らわせられた。

 チャレンジャーは、我々が仕事をし、忙しくしている事を知っているため、できるだけ迷惑をかけないように気配りをしてくれていたのだ。ある程度の距離を置いたほうがいいのではないか、という私の考え方が間違っていることを教えてもらった。我々は、仕事でチャレンジ・ブラジルを運営しているわけではない。それなら、アットホームな感覚でもっとフランクに付き合えばいい。それ以後、できるだけ電話を入れ、機会あるごとに食事に誘う。

 チャレンジャーは、悩みを打ち明けるわけでも、苦情を言うこともほとんどない。普段の生活を語り、バカ話をすることが多い。短い滞在期間をいかに有効に使うのか、我々が何を手伝えるのかを考える。幸い、我々がこれまで培ってきた人脈の中から、チャレンジャーの希望をかなえることができている。我々の力ではない。ヨチヨチ歩きのチャレンジ・ブラジルを理解し、協力していただいている日本人や日系人のおかげだ。我々が気のつかないところまでフォローしていただき、頭の下がる思いで日々送っている。

 いくらブラジルが好きで、自分の好きなことをやっていても、悩みはある。言葉の端々にその悩みが出てくる。口に出せば解消する悩みもあれば、内にこもった悩みもある。できるだけ、介入せず温かく見守っていようと思う。

「そのうち、世話にならなくてもいいようになりますよ」

 Kさんが私を睨みつけて言った。その気持ちがチャレンジャー精神だと思っている。そのときが来るのを楽しみに待っている。これからも「お世話をする」と言う目線ではなく、同じ目線でチャレンジャーと過ごしたいと決意を新たにしている。

2004年9月6日
理事長 鈴木 雅夫(現在サンパウロ在住)

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